正しいQWERTYキーボード
外出先でなにかメモしたくなったとき、いまだとスマホを使うのが自然なのだろうが、どうもスマホで長文を入力するのは面倒くさい。フリック入力は確かに高速で操作できるのだが、右手親指ばかり酷使するので疲れてしまうのだ。
むかしW-ZERO 3 [es]を散々使い倒したことを思い返すと、今でもスマホには物理キーボードがあるべきだと私は信じている。
もっとも、現実にはW-ZERO 3はWindows Mobileごと消滅し、BlackBerryさえなくなり、今では物理キーボード付きスマホはUniheartzのTitanシリーズくらいしかない。
UMPCと呼ばれるような小さいパソコンにも興味はあって、GPD Pocketなどを手に入れたこともあったが、メモ書きのためだけに持ち歩くのはやや大袈裟だし、小さくてもちゃんとしたキーボード付きのパソコンを使いはじめると、えてしてキーボードレイアウトの細かな違いに苛々するものである。
そもそも小さなBluetoothキーボードを持ち歩いてスマホと連携するという手もあって、実際に買ってみたのだが、メモを取りたい時に机があるとは限らない。というか、ほとんどない。
メモのためにメモをするという用途では、おそらく今でも紙とペンが一番なのだろう。ただ私の場合は日記だろうとなんだろうと、最終的にはデジタルデータとしてストックすることが目的にあるので、アナログへの回帰は考えづらい。
ところが最近になって、出先でスマホを使って仕事の英文メールを書くということが何度かあって、QWERTYキーボードならスマホでもそれなりに長文が入力できるということに気付いた。両手でスマホをしっかり持ちながら両親指で入力していくと、フリック入力のように疲れないのだ。
そういうわけで、さっそく日本語入力もQWERTYキーボードに切り替えてみた。いい感じだ。
いや、なにかがおかしい。
これがAndroidのGboardのキーボードである。左が英語、右が日本語。ASDF~の3段目が、日本語だと右端に長音(ー)が増えるのが分かるだろうか。日本語入力では長音を多用するからなのだろうが、おかげで英語と日本語を切り替えたときにキーの位置がずれる。
試してみると分かるが、これは非常に気持ち悪い。日本語と英語をいったりきたりするあいだに、入力ミスも当然増える。日本語キーレイアウトのまま英語も入力できれば良いのだが、できない。困った。
(ちなみに、この話を書き終えたあと、さらに色々と触っていたら、シフトから入ると日本語からでも英語を入力できると分かった)
iPhoneに乗り換えたら問題ないのかしらと一瞬真剣に考えてみたが、調べてみるとどうもこれはiOSでも同じらしい。というか、たぶんiOSのデザインが実質的な標準となっていて、他のキーボードも踏襲しているのだろう。お節介な話である。
幸い、Androidのキーボードは切り替えられる。日本語に対応した様々なキーボードを試してみたところ、残念ながらほとんどがGboardと同じようにデザインの崩れる挙動だったが、例外もあった。
たとえば、こちらはMicrosoftが提供するSwiftKeyの場合である。ちゃんとASDF~列が日英で揃っている。というか、これが当たり前であるべきでしょ。長音もちゃんとシフトキーのところにあって簡単に入力できる。かしこい。
ところがこのSwiftKeyは、日本語には対応しているものの、おおよそ日本人向けにちゃんと開発されているとは思えない出来で、常用にはつらい。たとえば、ひらがな入力中にスペースを押すと、漢字に変換するのではなくてスペースがそのまま入る。たのむよMicrosoft。
結論としては、日英を切り替えたときにデザインがずれない、かつ、その他の部分でも常用に耐えるキーボードは、Simejiくらいしかなかった。着せ替えだとかクラウドだとかVIPだとか、よくわからない機能が沢山あって辟易するが、少なくとも使わない機能はオフにできる。
日本語で長音が増えるのは他と同じだが、英語だとここにアポストロフィが入る。他と異なり、日本語キーボードありきで考えられたデザインだということが分かる。えらい。
残念なのは、他のキーボードのように、アルファベットからフリックで記号を入力できないことである。なぜ……。
というわけで、当面これで長文メモが書けるかを試してみます。今回のニュースレターはふつうにThinkPadで書きましたが……。そういえばThinkPadのスマホが出るらしいけど、6段キーボードはなかったですね。