Q-Tipの新作が楽しみ
音楽業界はすっかり配信中心になり、気付いたら誰かの新譜が出ていたという感じで、アルバムの発売を心待ちにすることはほとんどなくなってしまったが、9月6日に発売予定のLL Cool Jのニューアルバム、”The Force”は楽しみです。これがファーストシングル。
LL Cool Jは80年代から活躍するベテランラッパー。ヒップホップ・レーベル、Def Jamの最初期のアーティストである。男前で、マッチョで、面白くて、俳優としても活躍し、ファッションブランドを手がけたり、本を書いたりと「マルチに活躍するヒップホップ・アーティスト」のロールモデルという感じだ。ちなみにLLってのはLadies Love、Jは本名のJamesから。日本語にすると「モテモテ、イケてるJくん」みたいな感じか。56歳。
もっとも、アルバムをリリースするのは10年以上ぶり。それ以前に遡っても、近作はあまり良い印象がない。ジェニファー・ロペスとのコラボが大ヒットしたのはもう20年以上前だ。
そんなLL Cool Jの新譜になぜ期待してしまうかというと、これはもう、全曲のプロデュースをQ-Tipが手がけているからにつきる。これが新作からのセカンドシングル。
Q-TipはもともとA Tribe Called Questという90年代に日本でも大人気だったヒップホップ・グループのメンバーで、グループの解散後はソロ・アーティストとしても成功し、他のアーティストのプロデュースなどもやっている。54歳。
一方で、出ると言っていたアルバムがお蔵入りになるということがやけに多く、その才能や影響力と比較すると、世の中に残っている仕事があまりに少ない。日本のSpotifyではデビューアルバムさえ聴けない。この10年で目立った作品といえば、A Tribe Called Questの再結成アルバムくらいである。
ミュージシャンの活動が年を取るにつれて減っていくというのは今に始まった話ではないのだが、一方で時々現れてはこういうQ-Tip節としか言いようがない曲をプロデュースしていくのだからたまらない。
ざっと調べてみたが、Q-Tipが他のヒップホップ・アーティストのアルバムを全面プロデュースするというのは、意外にもこのLL Cool Jの新譜が初めてらしい(ジャズ・ギタリストのカート・ローゼンウィンケルのアルバムをプロデュースしたことはある)。
そういうわけで、LL Cool Jには悪いのだが、Q-Tipの新作として楽しみだし、今後また多数のプロデュースを手がけるよう、このアルバムにはヒットして欲しいなと思っています。
これがサード・シングル。終わり方が本当にQ-Tipなんだよなー。