テセウスの中日ドラゴンズ
プロ野球シーズンが終わってしまった。中日ドラゴンズという、かつて強かったチームを応援しているのだが、近年は見る影もない。今年は遂に最下位である。DAZNに加入しているのに、終盤はほとんど見る気力もなかった。
唯一良かったのは、神宮までドラゴンズ最終戦を観戦に行ったら快勝だったことだ。日記をあらためて調べてみたが、上京してからこれまで神宮で9試合ドラゴンズを見てきて、これが初勝利だった。どんなに弱いチームでも30%くらい勝つ可能性があることを考えると、8試合も負け続けるのはかなりの確率である(具体的には0.006%くらいである)。全然嬉しくないが。
さすがに生で負け試合を見続けていると、自分はなんのためにドラゴンズを応援しているのだろうという気になってくる。昔は強豪だったので、そんな自問をする必要はなかった。
船のパーツをひとつづつ入れ替えて、全部のパーツが入れ替わったら、それは同じ船なのかという「テセウスの船」というパラドックスがあるが、ひとつのチームを長年応援するのは、このパラドックスに向き合うことがある。
多くの人が地元チームを応援するのも、人は入れ替われど地元は変わらない、ということなのだろう。
私が生粋の神戸人なのに中日ドラゴンズを応援しているのは、別に天邪鬼なのではなくて、父が中日ドラゴンズファンだからである。そういう意味ではまっとうだ。ちなみに父も生粋の神戸人であり、こちらは間違いなく天邪鬼である。
前にも書いたが、NBAではユタ・ジャズというチームを長年応援していて、ここ数年は強豪の一つであった。しかし思ったような成績を残すことができなかったので、このオフシーズンに主力選手をごそっと放出してしまった。
だらだら勝ったり負けたりするよりも、優勝が難しいと思ったら主力をトレードに出して若い選手やドラフト権を集め、ドラフトで良い選手を獲得して再起を図るほうが良い。タンキングと言われる、合理的な発想である。
合理的なのだが、負け続けるチームを見させられるわけで、ファンとしては複雑な気持ちだ。プロ野球のドラフト制度も、NBAのように弱いチームに優先権を与え、戦力を均衡させたほうがいいという意見があるけれど、そうすると狙って負けるチームが出てくるわけで、なかなか難しい。
あー、私もタンキングできないかな。3年くらい負けがこむかもしれませんが、必ず強くなってきますんで、たぶん、きっと。中日ドラゴンズが復活するころには間違いなく……。