沈黙ゴールデン
何十年とインターネットにあれこれ書いていると、ときどき批判的なコメントをいただくことがある。なるほど確かにと受け止めることもあれば、そうでないこともあって、その判断はけっきょく自分の気持ち次第だから、実際のところ何割の批判が正当で何割が的外れなのか、自分では分からない。
批判に対して、かつてはくよくよすることもあったが、いまはあんまり何も感じない。年をとって、自分の書いていることにそれなりに自信を持つようになったし、自信のないことを不用意には書かなくなった。成長したと言えるし、鈍感になったとも言える。
他方、インターネットで長く同じ人を追いかけていると、多くの人が少しづつおかしくなっていくことに気付く。昨今のソーシャルメディアが、フィルターバブルだとかエコーチェンバーだとか、人をおかしくしやすい仕組みなのだとは度々言われている。有名人になるとファンが増えて、なんでも好意的に解釈してくれるので、世の中と断絶していくという流れである。
私もこれから少しずつおかしくなっていくのだろう。単純に私が耄碌する可能性も大いにあるし、過去の経験から言って正しいことを言っているつもりでも、世の中のほうが変わって経験が古びてしまうということもある。いや、今すでにおかしくないと考えるのは傲慢かもしれない。
前回・前々回とThreadsについて、自分ではなかなか面白い文章が書けたと思う。その自信の裏側には自分はFacebook社のことを知っているんだぞという自意識があるのだろうが、考えてみれば働いていたのはもう8年くらい前で、今の社内を知っている人からすればまったく的外れである可能性も十分にある。世の中には何十年も前に辞めた会社のことを語り続ける人がいるが、そうはならないようにしなければならない。
すこし前にBuzzFeedがニュース部門を閉鎖したとき、BuzzFeed Japan時代の同僚で、いまは朝日新聞デジタル編集長として大活躍中の伊藤大地さんがめちゃくちゃいいことを書いていたので、思わず印刷してしまった。
インターネットが大好きなのでついつい思いついたことを何でも書いてしまうが、自信満々でおかしなことを言い出さないように、少しずつ書くことを減らしていかないといけないなと思います。