継続と狂気の自選集
先日エゴサーチをしていたら、私が書いたショートショートの一覧のページをリンクして「不気味で面白いテキストサイト」と紹介してくれている人がいた。
なんであれ自分の作品を読んでくれるのはとても嬉しいのだが、軽妙洒脱なテキストばかり書いているつもりなので、やや心外な評ではあった。
ただ、そう言われて、あらためて一覧を見てみると、ぞっとするくらいの数があって、確かに多少不気味ではある。現代のインターネットに25年ぶんのショートショートを載せているような人間がいるなんて。継続は力なりと言うが、継続と狂気は紙一重だ。狂気は力、ということだろうか。
そういうわけで、多少は読者にフレンドリーなウェブサイトになるよう、ただの時系列だった一覧に、それなりに話題になったり、自分として納得のいったりした作品を集めた自選集を加えた。まだ読んだことのない作品があれば、ぜひ読んでみてください。
その中で、特に反響はなかったけれど、とても気に入っているので加えたのが「美女の殺人」という十年前の作品である。読んでもらうと分かるが、とにかく一文一文の意地が悪い。たぶんすごく性格の悪い人が書いたのだろう。
残念ながら、私は成熟するに従ってどんどんまともになってしまい、似たような話を書こうと何度か試みているのだが、うまくいかない。善人には善人なりの苦労がある。
近況としては、毎月一つ書くつもりだったショートショートが、八月も終わりというのに5作で止まっており、もう一つ書けてはいるのだが、なんとなく続き物にしたいので、二つ目を書きながら一つ目を書き直したり削ったりしている。もちろん軽妙洒脱な殺人の話です。