歴史的名盤と歴史的成功
最近、ローリン・ヒルのアルバム、"The Miseducation of Lauryn Hill"が25周年だったと聞いて、俺も年をとるわけだよと思った。
ローリン・ヒルはThe Fugeesのメンバーとして大ヒットを飛ばしたあと、このソロデビュー作で歴史的な評価を得たわけだが、結局それから今までスタジオ・アルバムが出ない状態が続いている(しようもないライブ・アルバムはあった)。
最近、ヒップホップ50周年イベントでナズのライブにサプライズ出演し、貫禄のあるところは見せたが、さすがに25年も経つと過去の人という感じは否めない。
"The Miseducation of Lauryn Hill"をCDで買って聞いたときのことは覚えていて、デビュー作としてはマアマアだなあという印象だった。「男には注意しろ~アレのことしか考えてないから~」と高らかに歌うシングルはキャッチーだし、メアリー・J・ブライジやディアンジェロとのデュエットは楽しいのだが、歴史的評価に見合うだけの歴史的名曲があったかというと、正直疑問ではある。
一番いい曲だなあと思うのは隠しトラックのCan't Take Eyes Off Of Youで、これはカバー。
余談だが、似たようなことはディアンジェロにも感じていて、こちらはビートだけですごく格好いいのだが、一番いい曲はなにかと言われるとFeel Like Makin’ Loveで、これもカバーなのである。
しかし私の評価はさておき、ローリン・ヒルはこのアルバムがヒップホップとして初めてグラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝いて、あれよあれよと名声を獲得していった。そしてアルバムのクレジットがどうとかで裁判に巻き込まれ、私生活のトラブルもあって表舞台から姿を消していった。
たとえば、このアレサ・フランクリンの曲はローリン・ヒルがソロアルバムを出したのと同時期にプロデュースしていて、とても良かったのだが。
グループのThe Fugeesのほうは、ワイクリフ・ジョンが長くラッパー、プロデューサーとして活躍する一方、一番地味なプラーズが違法のロビー活動に関わったとかで最近有罪になっている。グループとしてもあれだけのヒットを飛ばして、それから後がないというのも悲しい話である。
ローリン・ヒルのデビューがもう少し穏当な評価だったら、また違った歴史があって、また別のソロアルバムやThe Fugeesのアルバムが出たりしたのかもな、と思わないでもない25周年であった。
これもカバーだな。