悪い趣味
私は自分の書く文章がわりと好きで、だからこうしてわいわい書いてるのだけれど、前回のニュースレターはあまり良くなかったなと内省的な気持ちになっている。内容に不満はないのだが、ついさっき起きたことをわざわざ取り上げるようなことは、もう個人的にあんまり面白くないなと思ったのだ。
今年の頭から、家でお酒を飲むの原則としてやめた。それほど厳密な禁酒ではなく、飲み会に誘われたらビールくらいは飲むし、家族の誕生日では家でもスパークリングワインを開けるし、先日などワインのテイスティングセミナーにも行ったくらいだが、なんでもない時になんの理由もなくアルコールを摂取するのはやめるようにした。
もともとたくさんお酒を飲むほうではないので、それほど大きな変化というわけではない。ただ、お酒を飲むとどうしてもダラダラと過ごしてしまい、就寝が遅くなり、おまけに睡眠も浅くなる。禁酒的な生活をはじめてから、就寝や起床がよりリズミカルになっており、どんどんマシーンのような生活に近付いている。
先日、人と話をしているとき、ワインだ葉巻だゴルフだというその人の趣味の話を聞かされたあと、おまえの趣味はなんだと言われて、最近は週に2回ランニングをしていると答えたら、そうじゃなくて悪い趣味はないのかと問われた。考えてみたのだが、人に言えるような悪い趣味は見当たらなかった。
自分がどんどんつまらない人間になっているような気がする。世の中への関心が薄れ、古いゲームで遊び、寝る前にちゃんとストレッチをする男。その一方で、自分がどんどんまともになっているような気もする。自転車に乗り、いつもランニングシューズを履き、自分で食べたいものを自分で作ることのできる男。自己完結的であることが四十代の生活なのかしら。なにしろ失われた世代なので、正しさがなにもわからない。
Jリーグが開幕したが、浦和レッズが初戦から良いところなく黒星になってしまった。この勝ったり負けたりに一喜一憂する意味がどれだけあるのだろうかと思い悩みながら、スポーツを見なくなったら、いよいよマシーンになってしまうとも思う。