なぜかあるもののありがたみ
たしかRedditで読んだ話なのだが、もし今の世の中に図書館というものが存在しなかったら、誰かが今になって思いついたとしても、きっと実現しなかっただろう。
税金でたくさん本を買い集めて、無料で読める場所を作りましょうよ! 新聞とか雑誌も置いて、バックナンバーも読めるようにしませんか! 気に入った本があれば何冊かしばらく家に持って帰ったりできたら最高ですよね!?
いやいや、どういうビジネスモデルなの? 本が返ってこなかったらどうするつもり? だいたい本が売れなくなるでしょ? 民業圧迫ですよ。税金の無駄遣い。あまりに左翼的なアイデア。
まあ、もしかしたら賢い人が出てきて、カフェチェーンを誘致してそちらで稼ぎましょう、みたいな実用的なアドバイスをしてくれるかもしれない。
こういう「いま存在するが、もし存在しなかったら、もう生まれてこないであろうもの」を言い表す言葉ってあるのかしら。ロストテクノロジーの反対というか、オーパーツになる前のものというか。
ところで、私がこの図書館の話を読んだ時、最初に思いついた別の例は、ウェブブラウザであった。リクエストに応じてサーバーがクライアント(ブラウザ)にデータを送り、クライアントがデータのレンダリングを行う。だから、ユーザはレンダリングを自由に調整することができる。フォントを大きくするとか、広告をブロックするとか!
先日とあるウェブページをFirefoxで見ていたら、埋め込まれた動画がPicture-in-Picture(PiP)では再生できないように設定されていた。でもFirefoxの拡張には、強制的にPiPを有効にできるものがある。ブラウザがどう動作するかを決めるのはそちらではない。私なのだ。
だから私はインターネット(というかWWW)が好きで、スマートフォンのアプリとかにはぜんぜん興味がないのである。昨今はセキュリティとかDRMとかを理由に、ウェブブラウザもどんどん不自由になっているが、それでもここまで自由なものは、現代なら許されなかっただろう。私はそんな自由を満喫するためにインターネットをしていると言っても過言ではない。
なるほど、そうだよなと思った人は今日からFirefoxを使いましょうね。というかFirefox自体、今もし存在しなかったら、Chromeがあるのに新しいブラウザなんて誰も作ろうと思わないだろうな。