友達いない、同人誌つくる
先日、朝日新聞が「友達がいない? 悩める中高年」という連載をはじめて、話題になっていた。今のところ二本配信されており、どちらも無料部分は途中までだが、どちらもギフトで公開されいたのを見つけたので最後まで読むことができた。
話としては、はっきり言ってこれまでも繰り返された凡庸な内容である。仕事で活躍し、積極的に交友関係を広げてきたが、年を取るなかで(著者は58歳の新聞記者)、果たして仕事をやめても友達は残るのか、そもそも友達とはなんなのか……みたいな。
まあ友達がたくさんいて困ってますという人は世の中あんまりいないだろうから、友達がいない、どう作ればいいか分からないというのは、ある程度は普遍的な問いではある。ネットだと批判的に色々言われてるが、私は中年男性にありがちな悩みを正直に吐露した良い内容だと思った。
でも、はっきり言って仕事でそれなりに成功して、それなりに人間関係を築いてきた自覚のある人が、仕事から離れてみるとやっぱり友達ってあんまりいないのかも……みたいなことを言うのは、贅沢な話でもある。ネットはマスメディアに冷たいし、中年男性にも冷たいから、この記事が批判を集めているのも、仕方ない。繰り返すけど無料部分は途中までなので、自分から積極的に友達を作らないといけないみたいな(著者はとっくに心がけている)頓珍漢なアドバイスが投げられているのも、ある意味では自業自得ではある。
かく言う私は、なにより人見知りなので、友達が多いとも思わないし、その責任を誰かに押し付けるつもりもない。人見知りというのはキュートな表現で、「他人との社交は好きだけれども初対面の相手とは恥ずかしくてなかなかコミュニケーションができない」みたいな言い分を含ませており、実際そういう人見知りもいるのだろうが、私の場合はっきり言って人が苦手で、初対面相手なら、なおさら仲良くなれないというだけの話である。
しかし、そんな私が言うのもなんだが、友達を作るというのは現代においてはそれほど難しいことではないのではないか。たとえばFacebookでランダムに友達の申請をすれば何人かは受けてくれるわけである。毎日コンビニで対応してくれる店員を友達と見なしてもいいわけだ。
いや、それはおかしいというなら、結局のところ友達を作りたい、友達が欲しいと言うのは、クオリティの高い友達が欲しいという意味になる。先の朝日の記事も、誰も話し相手がいないので困ったというレベルではなく、もっとクオリティの高い友達が欲しいという話だと読み解くと納得感が高まる。だったら、もっと正直に「知り合いはたくさんいるけど、いい友達が欲しい」とはっきり書くべきではないかと思う。それで、いい友達と何がしたいのか、美味しい酒を飲みたいのか、旅行に行きたいのか、哲学談義をしたいのか。
その上で、いい友達は、まず間違いなく稀少な存在である。それなのに、その希少性がちゃんと認識されていない。特にフィクションにおいて、いい友達はあまりに一般的な存在なため、なんだか現実にも簡単に捕まえられそうな錯覚に陥っているように思う。映画やドラマの大恋愛を見ても、こんなの現実には起こりえないとは気付くが、映画やドラマでさりげなく登場するいい友達くらいは、自分も得られるんじゃないかと。でもフィクションの大半の要素と同様、いい友達というのはなかなかいない。私は一時の大恋愛より、長く付き合える「本当の友達」のほうが、ずっとフィクションなのではないかと思う。
そういうわけで、私からの勝手な回答は、期待値を下げろ、いい友達はいない、孤独に生きて読書でもしろ、というものでした。朝日新聞の連載が続くのかどうか分からないけど、同じ結論に至って欲しいものです。
なんだか急な思いつきで、たよりない話の中から時事批評やレビューなど比較的意味のある話を除いた、本当にたよりない話ばかり再録した同人誌「たよりない話の中でも特にたよりない話」を作ることにしました。
ありものの原稿を流しこむだけのつもりが、慣れない組版が楽しくて編集しまくってしまった。
巻頭言、過去の話から32編、書き下ろし1編で、目次も奥付もなく文章ばかり、A6中綴じ制限いっぱいの本文36pの予定です。価格は匿名配送の送料込み1000円になるはずで、これが赤字にならないギリギリくらいだと思うが、なにぶん初めてのことなので計算違いがないか心配です。
本当は昔のアップルみたいに本日から販売開始! としたかったのだが、BASEの審査が終わらない。とりあえず何部作るか考えないといけないので、買ってくれる方はソーシャルメディアに書いたり( #たよりない話 のハッシュタグをつけてくれれば見に行きます)、あるいは直接連絡したりしてください!


