ゼルダ原理主義者のおすすめ
「ゼルダの伝説」が好きで、正確にはスーパーファミコンの「神々のトライフォース」が大好きである。中学生の時に初めて遊んで、クリアまで駆け抜けた時は、なんてすごいゲームなんだろうと本当に感動したものだ。
「ゼルダ」はその後、3D化した「時のオカリナ」や「ムジュラの仮面」が歴史的名作と呼ばれ、Switchの近作「ブレス オブ ザ ワイルド」と「ティアーズ オブ ザ キングダム」も傑作という評価が確立しているが、どうも乗り切れない。2Dで十分に面白かったものを、3Dにして複雑にしているだけのように感じてしまう。
かといって「神々のトライフォース2」のような2Dゼルダの新作を遊んでも初代の感動はない。どのマリオで遊んでも「スーパーマリオワールド」のことを考えてしまうのもそうで、世代的にスーパーファミコンにはどのゲーム機よりも衝撃を受けたため、いまでもその余韻に囚われたままなのかもしれない。
「ゼルダ」の肝は、戦闘と探索である。敵を倒して、新しいアイテムを見つけて、それによって開拓できた新しいエリアで、また敵を倒す。インディーゲームの世界にはそうした「ゼルダ」のフォーマットを忠実に守った類似ゲームもたくさんあるが、当然そのようなゲームに目新しさはない。「Ittle Dew 2」は面白かったけど。
ところが、少し前にGMTKが、「空と海の伝説」という面白いパズルゲームを紹介していた。要するに倉庫番なのだが、面クリア型ではなく、オープンワールド型である。やってみると、これがすごく「ゼルダ」っぽい。戦闘のない、探索だけの「ゼルダ」である。
あらためて考えてみると「ゼルダ」の戦闘って、2Dも3Dも、あんまり面白くない。敵を倒しても経験値は入らないし、落とす金もしょぼいので、ただただ消耗させられるだけなのである。戦闘なんていらなかったのだ。ゼルダ原理主義者が本当に求めていたものは倉庫番だった。
ただ、戦闘という余白をなくしてしまうと、残るのは本気の倉庫番パズルなので、ひたすら頭を使ってしんどいのも事実である。正直に言うと私は中盤まで進んだが、そこで中断している。
一方、戦闘がつまらないなら面白くすればいいじゃん、という発想もある。私がこの数日ハマっていた「Minishoot' Adventures」がまさにそういうゲームで、こちらは10時間ほどであっという間にクリアしてしまった。
こちらは主人公が戦闘機(?)で、やっていることは弾幕系ツインスティックシューターである。無茶苦茶に撃たれる弾をくぐり抜けながら、敵を倒していく。敵を倒すとちゃんとレベルアップするので、戦闘に意味があるデザインになっている。見た目は難しそうだが、すごく丁寧に作られているので、思った以上にサクサクと進める。そして何より、戦闘と探索という肝の部分はすごく「ゼルダ」っぽいのである。原理主義者も納得の出来栄え。
今更だが、任天堂が「ゼルダ」をツインスティックシューターにすることはまずないだろうから、今日のインディーゲームの充実度と完成度って本当にすごいものである。もしゼルダ原理主義者が(正確には「神々のトライフォース」原理主義者だが)喜びそうな作品が他にあれば教えてください。