正しい年のとりかた
この頃は暑いので夜にランニングしているのだけど、このまえ気の赴くままに知らないエリアを走っていたら、スナックから男性客が陽気に歌う声が聞こえてきた。
店はたぶん二階にあって、そこへ登る階段へのドアが半開きになっていたのだと思う。私は快速を飛ばして店の前を一瞬で通り過ぎていったので、正確なところは分からないが、とにかく楽しそうであった。
スナックって何歳くらいが客層なのだろうか。年配の人が行くイメージがあるけれど、私自身だんだん五十歳が近付いてきて、わりといい年である。でもスナックには一度も行ったことがない。キャバクラもない。ガールズバーもない。クラブ(躍りに行くほうじゃないやつ)は学生時代にバイトしていたことがある。それらが少しづつ違うことはなんとなく理解しているが、厳密な定義の差はよく分からない。いま調べてもいいのだが、ここまで書いておいて何だけど、あんまり興味がない。
何が言いたいかというと、年齢層によって興味関心は変わっていくはずなのだが、一方で自分の興味関心はあんまり変わってないのだ。もちろん犬を飼いはじめたとか、コーヒーを飲むようになったとかいった多少の変化は、近年の私にもあるのだが、一方で読書、インターネット、ゲーム、ランニングといった私の趣味デッキはかなり完成していて、ここから大幅に入れ替わる感じがしない。
年をとったら、もっと色々な変化が自分自身に起きるのだと思っていたのだが、どこかでフラグを立て忘れたのだろうか。少なくとも、これから年をとってスナック通いをする自分は想像がつかない。
同世代の誰かがこれからスナックにハマっていくのか? 私くらいの年で既にハマってたりする人いる? いたら教えてください。
同じような例で、同じにしていいのか分からないが、ゴルフもそうだ。学生時代から自分が社会人になってゴルフをするようなイメージは全然湧かなかったし、実際に社会人としてゴルフをすることもなかったし、ここから今になってゴルフを始めるイメージもない。ゴルフをやる道がどこで閉ざされたのかは分からない。私は「あした天気になあれ」のようなゴルフ漫画を読んでたので、ちゃんとルールは把握しているのに、である。
でも同世代には、仕事あがりにゴルフの練習をして、週末は取引先とゴルフに行くような人もいる。どこでそういう状態変化があったのか。自分がゴルファーへ進化しかけたのに、キャンセルしたタイミングがあっただろうか。
他方で最近、友人に誘ってもらいボードゲーム会を何度かやった。ボードゲームは学生時代から好きだし、今も好きだし、今後もやるのだろう。良く言えば、自分の嗜好は昔から完成していた。悪く言えば、成長がない。年をとったせいか、最近そういうことをよく考えるのである。一度の人生で全パターンのエンディングを見ることはできないのだが、なにか大きな見落しはなかっただろうか、というような。
中年になったら全員がゴルフをはじめてスナックに行くわけでもないことは分かっている。でもスナックに行くような中年への道はもう閉ざされているように思う。こういうことを言うと、スナックに行きたいなら行けばいいじゃないと言う人がいるけど、そうじゃないんですよ。ある人は年をとって趣味が変わっていくのに、ある人は変わっていかないのはなぜか、という話をしている。
私自身、これから趣味を大幅に変えたいわけではないので、今の状態で満足なのだが、しかしスナックから聞こえてくる幸せそうな声は、そういう人生も楽しかったのかもしれない、と思わせるものであった。私の見間違えでなければ、1曲100円らしいし。スナックって曲単位でお金を払うのですか?

