接客業は10X
牛たんのねぎしというチェーン店があって、関西にいた時は見かけなかったが、東京にはあちこちにある。
美味しいよね。
ランチはだいたい1000円台後半、私の好きな白たん厚切りは2000円以上するから、それなりに美味しくないといけないわけだが、ちゃんと美味しい。昼ごはんを探していて、ちょうどいい店がなかなか見つからない時に、ねぎしがあると安心する。
東京には他にも牛たんの店がたくさんあって、仙台から出てきた有名店も見かけるのだが、食べてみるとねぎしのほうが美味いのでは? と思うことのほうが多い。私は食べ物のことなどあまり分からないので、何が違うのか分からないが。
それに、ねぎしは子供に優しい。私の子供がまだ一人前を食べなかったころ、店員は必ず「牛タンを小さく切りましょうか」と確認してくれた。子供用にごはんも用意してくれる。タダでごはんがもらえてハッピー、という話ではなく、そういう気配りがあるということが嬉しい。ここにあなたがいないのが寂しいのじゃなくて、ここにあなたがいないと思うことが寂しいのである。違うか。
ねぎしはあちこちの店舗に行ったが、どの店でも同じ対応だったから、そういう教育がなされているのだろう。
IT業界では10Xだとか言って、ビジネスモデル次第で10倍の成長が起きるとかなんとか言われるが、私はレストランのような接客業こそ10Xだと思う。名前は秘すが、うちの近くの店も、テキパキとした愛想の良い人が接客を切り盛りしていた時は大繁盛だったのが、別の暗い店員になったとたんに客が入らなくなってしまった。
ともあれ、ねぎしに限らず子供に優しいチェーン店のことを親は覚えているもので、子供が大きくなったあともその恩を感じながら生きるのである。アウトバック・ステーキハウスはクレヨンと塗り絵をくれるよな、とか。
そういえば、だいぶ昔にリンガーハットで子供と長崎ちゃんぽんを頼んだら、商品が出てきたところで子供が機嫌を悪くして泣いてしまったことがあった。そうしたら店員が出てきて「他の商品のほうが良ければ取り替えます」と言ってくれた。子供はただ不機嫌なだけだったので取り替えることはしなったのだが、自分がただのアルバイトだったら、泣いている子供にそういう対応が出来ただろうか、と考える。
なんとなく、いい話風にまとめてみたが、もちろん子連れで嫌な思いをして、二度と行かなくなった店もあります。