泣けるほどうまい油揚げ
すこし前に焼肉屋でうまい肉をはちゃめちゃに食べたら、翌日すこし気分が悪くなってしまった。どうやら40歳を過ぎると肉をはちゃめちゃに食べてはいけない。悲しい。
年を取ると味の好みが変わるとよく言われるが、私の場合、ただ鈍感になっているだけのように感じる。ピーマンやキウイのように苦手だったものも、今ではなんとなく食べられる。一方、大好物を食べても昔ほど感動することはない。大人になるとだいたいのものは好きなだけ自分で買って食べられるので、ちょっと美味しいなと思っても、飽きるまで食べて飽きてしまう。
ところが、最近になってめちゃくちゃうまいものを発見してしまった。油揚げである。別に特別なものではない。まいばすけっとで100円くらいの油揚げを切って、炒めて、塩をふって食べる。うまい。ちょっと大袈裟かもしれないけど、泣けるくらいうまい。
こういうやつ
なぜ油揚げで泣くことがあるのか? わからない。油揚げになんの思い入れもないのだが、うまいという感情との乖離が激しすぎて、やばいドラッグでもやってるのかという感じである。
「なぜ君は総理大臣になれないのか」というドキュメンタリー映画で、政治家の小川淳也がひとしきり働いて家に戻ったあと、油揚げをうまそうに食べるシーンがある。一年ほど前に私がこの映画を見たときは、なぜ油揚げをそこまでうまいと思っているのか分からなかった。いまなら分かる。
これが一過性のブームで終わるのか、一生の好物になるのかまだ分からない。とりあえず私は今日も泣きそうになりながら油揚げを食べています。うまい。